瓦斯漏洩

うちのアパートでガス漏れ事故が起こった。
 
真夜中の宵闇に、まるでクレーンからH鋼材の束を落下させたような、鋼の大音響が響き渡った。
アパートの近隣はLPGの香りで満たされてゆく。最悪のアロマテラピーだ。
泣きじゃくる隣人の若奥様。車でガス庫に突っ込んだらしい。あーあ。
そして銀の服に身を包んだ十数人の大部隊が到着。
拡声器からの「火を使わないでください」の声が何度も響く。
やがてガス臭は止まり、近所一軒一軒に作業完了の報告があり、部隊は引き上げた。
そんなわけで3時間くらいしか眠れなかったが、仕事には普通に出勤できた。
 
職場でこの話をしたら、
「じゃあ、今日生きてる君に会えたのはラッキーだったなあ」と言われた。